オールインワン水槽PERCO(ペルコ)。ありそうでなかった、丸形ガラス容器を配線やエアチューブなどをまったく見せないシルエットのオールインワン水槽セットです。商品についての詳しい説明はブランドサイトに任せて、今日はマーケティングを担当している、私田中が開発に至った経緯や開発担当の加藤ティーとの裏話、お伝えしたいと思います。

オールインワン水槽の市場投入を継続する

決して「単につくればいい」ということではありませんが、アクアリウム市場にとって時代に合った「オールインワン水槽セット」は市場活性化の大きな手段になります。

ジェックスでも約2年に一度はオールインワン型のセット水槽を開発しており、最近ではGEX aquaristaブランドが中心になっていました。コロナ禍を経て、新たなユーザーに向けたオールインワン水槽として、PERCOはGEXブランドとしてデビューすることになりました。

マーケティングとしてはもちろん、これまでにないターゲットに対する商品を生み出したいのですが、従来のオールインワン水槽の考え方では、価格帯やコンセプトなどが基本的には男性がターゲット、ということがほとんどでした。

20年以上前のアクアリウムブームだったころは、家に水槽があること自体がステータスという面もあり、家の中で主役となり目立つ存在が求められていたように思います。しかし時代はどんどん変わって、家の中にモノが溢れることを望まない家庭も多くなりました。テレビをはじめほとんどの家電製品はスリム化し、より『目立たない』『馴染む』デザインが求められていきます。

アクアリウム水槽もしかりで、スリムタイプの水槽がヒットしたり、より小さな水槽が選ばれる傾向がより強くなっていきます。「インテリアアイテム」としての小さな水槽はそれはそれで良いのですが、一方で小さい故の弱点(水質管理や生体環境)も表面化し、初めてアクアリウムにトライする人が失敗しやすい環境が逆に増えてしまっていた、ともいえます。

そんな過去からの経緯もあって、オールインワン水槽であるからには飼育の条件をしっかり提示しつつも、『生体にとっても水質、環境面で根拠あるものを』という考えも、開発陣との間で議論されていきました。その上で、新たなターゲットに向けても魅力的なもの、そんな贅沢な課題をチームで考えていきました。

オールイワン水槽「らしくない」オールインワン水槽を

このPERCOが女性向の商品、ということではないのですが、実際にコンセプト開発段階では女性のみなさまの「水槽に対するイメージ」に耳を傾けて、許容される条件を探していきました。

開発着手直前、流通様向けの展示会で女性来場者から「水槽」に対する率直なイメージを聞いて回ると、「見るからに水槽っぽい水槽はちょっと…」という声。お魚飼育=面倒、水換えが大変、そんなコトバのイメージがほとんどの人にあるようでした。それは、「水槽らしい水槽」を見た瞬間に浮かんでしまう、ということだったのに対して、丸形のグラスアクアのコーナーを見ると、「安心して楽しめそう」という、反対のご意見。

これは、オールインワン水槽であっても、「水槽らしくない水槽」である必要があるのでは、と直感的に感じたわけです。

一言で「らしくない」というと奇抜なデザインに飛び込みそうになるので、その想いを抑えて、「今人気のものに不足している要素を丁寧に探して、構造で解決していこう」という開発コンセプトにいきつきます。