「水換え」は必要、ということはみんな知っている。

こんにちは。ジェックスでアクアリウム事業部のマーケティングを担当している田中です。

今回は「水換え」について、わたしたちジェックスの考えを少しだけ、お話したいと思います。どうぞお付き合いください。

ジェックスはこの数年間、「水換え」をテーマにした水槽やフィルターを開発、発売してきました。ジェックスの観賞魚飼育に対する大きなテーマである「飼育継続率を高めたい」という考えの中で、設計陣に投げかけた新規開発案件は多数におよびました。

その中で生まれた、「ラクテリア(2019年:水槽セット)」「ラクフィル(2020年:フィルター)」は、いずれも様々な賞をいただいたり、販売店様でも大々的にお取り扱いいただき、購入されたお客様からも「水換えが楽になった」と評価をいただきました。

一方で、特に観賞魚飼育を長く続けているお客様からは、わたしたちがハッとするような意見もいただいていました。それは、「水換えはもともと魚飼育には必須なことだから、それを飼育者の視点だけで考えるのは良くないのでは」というような主旨のご意見でした。つまり、私たち飼育者がラクになるのはいいが、魚や水槽内の生き物のことも、ちゃんと考えないといけないのでは、と、当たり前のことですが考えさせられたりもしました。

ジェックスでは飼育するみなさまにいろいろな調査やアンケートをしていますが、「水換えが飼育に必要」ということはみなさまほとんどわかっています。そして一方で、「面倒」とも感じています。

しかし、その面倒な水換えを「なくす」ことが正しいのか、それは魚にとってはどうなのか。これをテーマにしたのが、今回の「水換えを簡便」にする水槽、フィルターの最初のコンセプトになりました。まさに、魚やアクアリウム環境を人と生き物の視点で考える、みなさまからいただいたヒントでした。

ジェックスもかつて、「水換え不要」とか「水汚れゼロ」というような、水換えそのものをなくす、というような発想の商品もありました。

しかし現在は、設計陣のがんばりで「水換えを簡便化する」そして、ジェックスラボラトリーの微生物の力を応用した「水質環境を整える」という魚や生き物にとって、という視点をもった開発へのシフトしています。

水換えは人間の暮らしに例えると

コロナ禍でわたしたちは「換気」を意識するようになりました。コロナとは関係なくても、朝起きたときや気分転換、なにか部屋の空気が淀んでいるな、と考えたら窓をパッと開けて換気します。

水換えを換気に例えるなら、同じように水の中の汚れや分解しきれない物質を外に出して、新しい水を水槽に入れる、という同じ役割です。でも魚たちは自分たちの力では水換え=換気はできません。

もしかすると、私達も換気せずに暮らすことはできるかもしれません。さまざま消臭剤や芳香剤、エアコン、空気清浄機を駆使して、数値上は「問題ない」という部屋の状態で暮らすことも、可能といえば可能かもしれません。

でも、きっと、そこには数値を超える重要なことがあるような気がしています。

自然の川や湖には常に上流から新しい水が注がれてきます。その中での魚や生き物たちの暮らしを水槽で再現するとすれば、やはり「水換え」は必要なはず。ですので、できれば、水換えそのものがなくなるような提案ではなく、水槽環境に必要な水換えを「簡単にする」、そして、自然界と同じように微生物たちの力を借りた水質維持、をジェックスとしては推奨したい、と思っています。

芳香剤や消臭剤の化学的な力で部屋を快適にする=化学的な物質で水槽の水換えを減らす。それも一つの方法ですが、やはり、自然と同じ原理が、生き物たちにはやさしいような気がしています。

「水換えが面倒」と思う人は減ってきている

ここに興味深いデータがあります。2014年と2020年でアンケートをまったく同じ質問でした結果です。その質問とは、「水換えは面倒だと思う」という質問。

それに対して、「はい」と答えた人が2014年を100とすると、2020年は約17%も減っていた、という数字です。つまり、観賞魚飼育をしている人の中で「水換えは必要」と思っていても、それを「面倒」と思う人が大きく減っていた、ということです。

ラクテリアやラクフィルなどの水換えを簡便化する商品の登場がその結果に寄与しているとすれば、それは本当に嬉しいことですが、それ以外にも、今年は自ら進んでアクアリウムを能動的に始めた人が多かった、ということも影響しているように思います。

ジェックスとしては「水換え」に対する飼育者のみなさまの「面倒」と感じる課題をこれからも解決していくことが、もっと多くの人が観賞魚飼育を楽しむ大きなポイントになると思っています。それは、これまで「魚が死なない環境」を追いかけ「飼育継続率を上げる」としていることともつながります。

一つ言えることは、「水換えは必要」ということです。その水換えを簡便化し、同時に微生物の力で人と魚たちの環境づくりを手助けすること、これからもそんな商品の開発に努めていきたいと思います。