ボトリウムとは?

器具をつかわずにお魚が楽しめる!!
お魚との暮らしがぐ〜んと近くなるボトリウム。
この時代の新感覚アクアリウムです。

ボトリウムは「小さな地球」

お魚や水草、そして目に見えない生き物たちの営みがそこにはあり、ボトリウムが成り立っています。

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研究の背景

日本における65歳以上の高齢者人口は3588万人と過去最多となりました。また総人口に占める割合は28.4%と、こちらも過去最高となりました(総務省統計局 2019年)。高齢者の割合は今後も増加し、日本は超高齢社会を迎えています。その中で、地域によっては高齢者が集まれる場を提供し、文科系、運動系、音楽系、カフェ系などのイベントが開催され、高齢者の方に楽しんでいただく活動が行われています。

今回、高齢社会の諸課題解決に向けた研究を行っている東京大学高齢社会総合研究機構(IOG)と共同研究を行い、高齢者の地域活動において、ボトリウムを通じて得られるポジティブな影響を調査しました。なお、本研究成果は20191月に 日台教育研究プロジェクトワークショップにて発表を行いました。

 

実験概要

20197月、9月、10月に、千葉県T団地にある地域活動館および近くの体育館にて自分のボトリウムを作るワークショップを3度開催しました。ボトリウムにはアカヒレを1匹、他に貝と水草を入れました。ワークショップ後、自作したボトリウムを自宅に持ち帰ってもらい、一か月お世話をしてもらった後、インタビュー調査によるヒアリングを行いました。

写真1.ワークショップの風景

結果・考察1.  高齢者の「会話」と「飼い主としての責任感」が触発された

インタビュー調査の結果、お一人暮らしの参加者の多くはコンパニオン動物としてお魚に話しかけている姿が見られました。ご夫婦で暮らされている方にとっては夫婦間の会話のきっかけにもなっていました。加えて、飼い主として魚と貝に名前を付け、面倒を丁寧にみている様子が伺えました。また、魚と貝の行動を長時間眺めるなどの観察も行っていました。

 

結果・考察2.  ボトリウムを通じてお魚を中心とした地域コミュニティが形成された

ワークショップ後、参加者同士で情報交換をおこなっている姿がありました。お互いの家に行き、ボトリウムのお魚を眺めるなどの交流も生まれていました。加えて、ワークショップに参加していない(ボトリウムを持っていない)高齢者もお魚を眺めに友人の家を訪れるという事例もありました。

飼育が進むとボトリウムに入れた貝が仔貝を産むことがあり、仔貝を譲渡するなどの里親制度もできあがっていました。さらに、高齢期になると入院する機会が増えます。入院時にボトリウムを知り合いに預けるなどの助け合いも行われていました。ボトリウムを通じて、これら地域コミュニティの形成が見られました。

また、この原稿を書いている20204月現在は新型コロナウイルスが日本で流行し、多くの高齢者は外出を控えている情勢にあります。調査参加者から、「外にはなるべく出ないけど、ボトリウムを作って家にお魚がいるから刺激になる」という意見が寄せられています。

写真2.譲渡用に持ち込まれた仔貝

 

まとめ

今回の調査から、ボトリウムは高齢者にとってポジティブな効果があると考えられます。同調査は地域の団地で実施しました。参加者同士が、初めからある程度の顔見知り、もしくは知り合いであったことがボトリウムの効果を強めたと考えられます。他の団地や老人ホームなどで同様な企画を行った場合にも、類似した効果が認められると想定されます。また、ボトリウムはフィルターやポンプなどの配線といった煩雑な作業がなく、場所も取りません。ワークショップで皆と楽しみながらボトリウムを組み立てられる、掃除が簡単、犬猫のお世話より手間がかからないなど、高齢者でも手軽に楽しめるアクアリウムであることから、来るべき超高齢社会における高齢者の地域活動に有効であると考えています。

 

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