実はとってもカワイイ! ヒョウモントカゲモドキ(レオパ)について知ろう!
ショップのケージ内から視線を感じ、目を向けた先で合ってしまったそのつぶらな瞳(ウィンクをしてくれたり!)やアンバランスなほどのぷりぷりな尻尾を振りながら歩く姿にトリコになってしまった方も多いと思います。
それでは『ヒョウモントカゲモドキ(レオパ)』の生態や飼育方法を飼育器具の説明と合わせて紹介していきたいと思います。
ヒョウモントカゲモドキ 通称(レオパ)の種類について
なぜ、「ヒョウモントカゲモドキ」って呼ぶの?
日本名(和名):ヒョウモントカゲモドキ
英語名(英名):Leopard Gecko レオパードゲッコー
そして学名をEublepharis macularius といいます。
学名というのは聞きなれないと思うのですが、爬虫類を知れば知るほどよく聞くのが学名です。ワンちゃんやネコちゃんほど普通に飼育する環境になれば、必要のないことなので、難しいと感じてしまいますが、学名でしか呼ばれていない爬虫類もいますので、少し慣れてもらえれば、と思います。
Eublepharisというのが属名で、maculariusが種名となります。
爬虫綱有鱗目トカゲモドキ科のEublepharisというグループに属するヒョウモントカゲモドキmaculariusさん、という感じです。
ということで、「ヒョウモントカゲモドキ」というのは和名です。
『ヒョウ柄の模様のあるトカゲに似て否なるもの』という見た目から「ヒョウモントカゲモドキ」という名前になっています。
え?そうなの??っていう感じですよね。ショップで販売されている真っ白や、真っ黒や、真っ黄色や、オレンジ色の個体を初めて見た方にはそれこそ『えっ???』って感じになるかと思います。ましてや英名のレオパードゲッコー、通称レオパに至ってはなんで???ってなりますよね。
英名も和名と同じく、レオパード=ヒョウ柄という意味合いからヒョウ柄のヤモリ、「レオパードゲッコー」とつけられています。
ヒョウ柄は原種の野生個体にみられる特徴で、発見された時期(学名がついた時期)はこの原種がメインだったため、maculariusという種名も「斑紋(まだらの模様、ヒョウ柄)をもつ」という意味があり、そこから「ヒョウモントカゲモドキ」という名前がつき、現在もそう呼ばれています。
ヒョウモントカゲモドキの仲間について
現在ヒョウモントカゲモドキの種類はEublepharis macularius一種類のみとなっていますが、Eublepharisに属する「トカゲモドキ属」のヤモリは現時点で6種類です。
- Eublepharis angramainy
- オバケトカゲモドキ
- Iranian fat-tailed gecko
- Eublepharis fuscus
- ダイオウトカゲモドキ
- West Indian leopard geck
- Eublepharis hardwickii
- ハードウィッキートカゲモドキ
- East Indian leopard gecko
- Eublepharis macularius
- ヒョウモントカゲモドキ
- leopard gecko
- Eublepharis satpuraensis
- サトプラトカゲモドキ
- Satpura eyelid gecko
- Eublepharis turcmenicus
- トルクメニクストカゲモドキ
- Turkmenistan eyelid gecko
ヒョウモントカゲモドキがあまりに有名すぎる「トカゲモドキ」の代表種であるにもかかわらず、他の5種類はとてもとても珍しい種類であるため、あまりお目にかかることは出来ません。せっかく出会えても「びっくり!」するようなお値段ばかりです。
ただどの種類もヒョウモントカゲモドキの仲間!
当然同じような飼育法で育てることが出来ます。
ただしEublepharis hardwickii(ハードウィッキートカゲモドキ)だけは他の種類よりも湿度を必要とします。もし飼育をする場合は、十分な保湿をした環境で飼育をしましょう。
ヒョウモントカゲモドキを知ろう
分布:アフガニスタン、インド、パキスタン
一般の人がイメージする砂だらけの「砂漠」ではなく、大小の岩や岩山が入り混じった岩礁地帯やなだらかな丘陵を作る荒れ地にヒョウモントカゲモドキは生息しています。植物といえば乾燥に強い数種類程度の多肉植物が少しだけ見られます。
ヒョウモントカゲモドキの生息地にはこのような多肉植物が所々に点在します。写真の植物はガガイモ科の植物の仲間です。
(詳しい種名まではわかりません。)
乾燥に強い多肉植物であってもやはりこのように枯れてしまいます。枯れて積もった植物の下はしっとりと湿っています。
このような、多肉植物が朽ち枯れ積み重なった下に入り込むようにヒョウモントカゲモドキは生息しています。そこは雨の少ない荒れ地であってもしっとりとした湿度のある環境です。
枯れた植物と地面の接地面のほんのり湿った場所に砂を掘り日中は身を隠しています。
薄明薄暮時から夜間にかけて巣から出てきて餌を探し徘徊します。あまり真夜中には見受けられませんでした。
分類 野生種(原種)のヒョウモントカゲモドキ
現在ヒョウモントカゲモドキはEublepharis macularius(ヒョウモントカゲモドキ)一種類のみとなっています。過去には5種類と分類されたこともありましたが、色彩変異が大きく、4タイプに分けられたことから亜種を認める説もありますが、現在ではペット流通上の色彩変異グループ個体の呼び方としてその亜種呼名が使用(現存)されています。
亜種・・・生物の分類上で、独立の種とはしがたいが、同種とも言いがたいものを亜種として分類する場合がある。研究者の立場によって亜種と同種の位置づけが異なる場合があります。
大きさ(サイズ)
頭胴長(鼻先から尾の付け根までの長さ)オス13 – 16cm、メス11 – 13cm
体の特徴
【目】
他のヤモリは持っていない「まぶた」を持っています。まばたきする姿は特にかわいらしいです。
トカゲの仲間には,まぶたを持つ仲間と持たない仲間に分かれます。このうちイグアナや、カメレオン、オオトカゲ他多くのトカゲの仲間は前者に、ヤモリは後者になります。トカゲモドキはれっきとしたヤモリの仲間でありながらまぶたを持っています。このことから「偽物のトカゲ=トカゲモドキ」と呼ばれています。 モドキなんてかわいそうですね。
【肌】
体表は全てウロコに覆われていますが、触ると柔らかいです。脱皮の時は白くなります。
【肢】
細かいうろこで覆われたヒョウモントカゲモドキの指。趾下薄板を持たないため垂直なガラス面は登れませんが、爪を使って岩などを器用に登り降りします。
他のヤモリの指。
しっかりとした趾下薄板を持つオウカンミカドヤモリ(クレステッドゲッコー)
【尾】
尾に栄養を貯めることができます。しっかりと栄養をとっていると太くぷりぷりとした尾になります。
驚いたりすると自切することがあります。再生しますが尾を持ったり驚かしたりすることはやめましょう。
<注意!!>
決してこのような持ち方をしてはいけません。
特に幼体の場合や購入後の移動直後などストレスがかかっているときはは簡単に自切してしまいます。
オスとメスの判別方法
飼育の醍醐味といえばやはり繁殖につきます。また繁殖を考えていなくても飼育している自分のヒョウモントカゲモドキが男の子なのか女の子なのかは知りたいところですよね。
生後半年くらいまでの幼体時期はオスかメスかを決定するキーポイントが分かり難いのですが、2次性徴とともにその差がはっきりと表れてきます。
【前肛腔】
小さな孔の開いたウロコが飛んでいるカモメのように並ぶこの器官を「前肛腔」と呼びます。
オスの二次性徴で顕著に表れる器官で中心の孔からにじみ出るワックス状の物質を石などにこすりつけて自分の縄張りを主張する事に使用します。
そのためメスではこの孔を持たないか、あっても非常に小さいものとなります。
このメスには、小さな痕跡が見られます。
【総排泄腔】
うんち・おしっこ・繁殖のすべてを一つの場所で賄ってしまう腔のことです。
『総排出腔』ともよばれます。
よく【全長】【頭胴長】という言葉を耳にすると思います。
全長は鼻の先端から尾の先端までを、頭胴長は鼻の先端からこの総排泄腔までの長さを指します。
ちなみにこの総排泄腔、学術用語ではラテン語の下水溝を意味する『CLOACA』と呼ばれています。
【クロアカルサック】
総排泄腔に付属する袋状の器官です。『CLOACA』の袋ですので『クロアカルサック』と呼ばれています。
オスの生殖器『ヘミペニス』が入っています。日本語では直訳の『半陰茎』ですがヘミペニスが一般的です。
ヘミペニスは左右一対持つため2か所のポッコリがあります。メスにもごくごく浅いサックがあるため幾分膨らむこともありますが、なだらかに一か所膨らむ程度です。
熟練した人では成熟個体の頭部の幅や尾の付け根の太さ、品種別にみられるオスとメスの大きさの差などでもオスとメスの判別が可能ですが、一般的には総排出腔付近を見る事により見分けることが出来ます。成熟したオスは総排出腔の尾側に『クロアカルサック』と呼ばれる2か所の盛り上がりが確認出来ます。また、総排出腔の頭部側に小さな穴の開いたV字型の鱗が並びます。これを「前肛孔」と呼びます。この前肛孔、カモメが飛んでいるみたいに見えます。メスにはこの特殊な鱗はありませんし『クロアカルサック』と呼ばれるふくらみはありません。
寿命
約15~20年 飼育下では平均15年ぐらいといわれています。
人気の品種(モルフ)をご紹介
ヒョウモントカゲモドキ(レオパ)は、多くの著名人たちが原種同士の選別交配や突然変異個体の固定を行い、数多く品種(モルフ)が作出されてきた過去があり、現在では多くの品種(モルフ)があります。
カラーバリエーションも豊富でお気に入りを選べる楽しさもあります。
ここではその元となった品種(モルフ)や人気品種(モルフ)についてご紹介します!
各品種(モルフ)のもとになった品種
ハイ イエロー(High Yellow)
名前の通り、野生個体の黄色味の強い個体やスポットの少ない個体を掛け合わせて作出された品種です。現在のすべての改良種はここから始まったといっても過言ではないヒョウモントカゲモドキの基本種とされています。ノーマル(普通種)のような呼ばれ方もされています。
タンジェリン(Tangerine)
名前の由来は地中海オレンジのような美しいミカン色から来ています。ハイイエローの選別交配によって作出されました。近年タンジェリンのみの品種が少なくなってしまいました。写真の個体は黒色色素が減少したハイポメラニスティック(通称ハイポ)+タンジェリンのハイポタンジェリンと呼ばれる個体です。
ブリザード(Blizzard)
ブリザードとは色素生成が通常の個体より少ないために白化を起こした個体のことです。そのため本品種は豹紋を持たないヒョウモントカゲモドキとなります。目の上の澄んだブルーと体色の白がとても美しい印象的な個体です。
アルビノ(Albino)
一般にアルビノとは黒色色素であるメラニンをもともと持たない、色素欠乏症とも呼ばれる遺伝子疾患を指しますが、爬虫類業界では黒色色素が抑えられたもしくは発色しない色彩変異も含めます。多くの品種のもととなった突然変異です。写真の個体は非常に珍しい野生個体のアルビノです。
人気品種(モルフ)
スーパー マック スノー(Super Mack Snow)
規則正しく並んだ黒の縦じまと地色の白とのコントラストが美しい品種で、自動車のCMで大変人気になりました。
マックスノーという多くの品種のもとにも使われる白味の強いハイイエローに似た品種同士の交配から作出されました。
スーパー レーダー(Super Rader)
スーパーマックスノーとレーダーという名の品種の交配から作出されました。まるでルビーかイクラのような鮮やかなレッドアイを持つ品種として人気があります。
レッド アイ エニグマ(Red Eye Enigma)
エニグマとは「謎」「パズル」などを意味する言葉です。本品種はエニグマとベルアルビノの交配から作出されたものです。レッドアイと独特のカラーリングが印象的なとても美しい品種です。
ブラック ナイト(Black Night)
突然変異や他品種との交配ではなく、単純に黒い個体同士をひたすら15年以上年月をかけて選別交配することによって作出された 大人気の品種です。グレードによって黒の密度は様々です。
ホワイト ナイト(White Knight)
前出のブリザード×レーダーによって作出されたルビーのような赤い目をした白色の品種で、人気があります。グレードによって白さに差があります。
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